冬のスタイリングに欠かせないものになりつつある、“ミリタリーアウター”
でも一括りにミリタリーアウターといっても、種類は様々。
それぞれの用途に適した機能を持たせ、歴史の中で進化してきたミリタリーアウターは、デザイン性だけではなく、優れた実用性が魅力。
個性的なポケット、ボタンのないボタンホール、派手な裏地、、、、
これは一体なんの為?と思ったことがある人も少なくないのでは。
ただのデザインだけではない、元々はすべて意味があるもの。
今年も様々な子供服ブランドから本格的なミリタリーアイテムが登場しているが、その再現度の高さや、細やかなこだわりを知ることでさらに特別な1着に感じられるはず。
N-2Bジャケットを模して作られた、
『 DENIM DUNGAREE の ナイロンツイルN2B JK 』
元となるN-2Bジャケットとは、アメリカ空軍が1960年代に採用した寒冷地用のフライトジャケット。
フロントはジッパーとボタン留めの2重構造で防寒性を高めたアウター。動きやすさを重視するために、着丈を短めに設定。
なんといっても特徴的なのは、羽毛状の白いボアを取り付けた大きいフード。
さらにそのフードは中央部のジッパーにより2分割して襟のように着用することが可能。
これは、狭いコックピット内で周辺機器にフードがひっかかることがないようにと考案された形ですが、同時にフードの重さを軽減することにも成功した、機能性に優れた形なんです。
そんな細部まで忠実に再現されたデニムダンガリーのミリタリージャケットは、ミリタリー好き、ヴィンテージ好きも納得の仕上がり。
イメージソースは、AIRFORCE CWU-1/P
『 GO TO HOLLYWOOD の リバーシブルパイロットリメイクJK 』
AIRFORCE CWU-1/Pとは、50~60年代のパイロットの防寒用に開発されたつなぎのパイロットスーツのこと。
GO TO HOLLYWOODのリメイクJKは、オールインワンのミリタリースーツを、上だけリメイクしたというストーリー設定で日常に取り入れやすいミリタリージャケットへと昇華。
ボタンホールのついたウエストマークは本格的なAIRFORCE CWU-1/Pを模したもの。
つなぎでも、上半身を脱がずにトイレに行けるようにとつけられたボタンをそのまま忠実に再現。
そんな細部のデザインや、光沢のあるフライトクロスは本格的なミリタリーアイテムさながらですが、それをあえて女性らしさととらえてデザインに落とし込むあたりが、ゴートゥーハリウッドらしい魅力的なポイント。
モッズコートをキッズが着用しやすい1着にアップデートした
『 EAST END HIGHLANDERS の Mods Coat 』
モッズコートとは、米軍の防寒用衣料として使われ始めたパーカー付きのコート、M-51とM-65のこと。
ロンドンで生まれたカルチャー、その中心となった若者集団 “モッズ” がM-65をユニフォームのように着用していたことからモッズコートと呼ばれるように。後ろの裾が長くなるフィッシュテールデザインが特徴。
イーストエンドハイランダーズのモッズコートは、その特徴的な形状や、袖口を調節できる機能は忠実に再現しながら、
通常に肩につくエポレットや、ドローコードは排して子どもが着用しやすい1着に。
コットン・ナイロンを最終工程で長時間もみほぐすことで、ふっくらとソフトでヴィンテージさながらの風合いも演出。
さっと羽織れるライトアウターの地位を確立しつつある、
『 キルティングライナー 』も実はミリタリーアイテム
本来はコートやジャケットなどのアウターに付属する取り外し可能な裏地。
キルティングライナー中でも最もポピュラーとされるのが、M-65ライナー。その特徴はヘチマステッチ。
デザイン性のあるヘチマステッチは、中綿の偏りを防ぐ効果を持ち合わせています。
首元にボタンホールがついているものも多く見かけますが、これはアウターとライナーを合わせるボタンホールを忠実に再現したライナーならではのデザイン。
さらに、よく目にするこのタグ。
これはアメリカ軍が使用するアイテムに、アイテム名や製造年、メーカーやサイズが記載された“ミルスペック”というタグをデザインとして取り入れたもの。
なんのため?と思っていたボタンホールも、ただのデザインと思っていたタグも、実はミリタリーアイテムに敬意を払って、忠実に再現した本物志向のデザイン!
定番でシンプルなアイテムだからこそ、ブランドの個性が光る『 MA-1 』
フライトジャケットの定番ともいえるMA-1は、元々アメリカ軍が使用していたフライトジャケット。
パイロットの作業に支障が出ないように装飾をなくしたシンプルなデザインが特徴。
軽くて丈夫なナイロン素材で作られることが多く、防寒性、保温性にも優れています。
特徴的な裏地のオレンジは、国際救難色(レスキューオレンジ)とされ、不測の事態が発生した際に裏返して着用し助けを求めるためのもの。
元がシンプルなジャケットのため、ブランドの色を加えてアレンジしやすく、ユニークなアイテムが多数存在するのがMA-1の魅力でもあります。
冬のスタイリングの主役になるアウターは、決して安いお買い物とは言えない。
手に取ったそのミリタリーアウターに、これまでの長い歴史が生んだ、たくさんのスペックが詰まっているとしたら、、、
少しアウターを見る目が変わるかもしれません。
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